はじめに

機能性便秘には直腸性便秘、弛緩(しかん)性便秘、痙攣(けいれん)性便秘などの種類があります。今回、機能性便秘の一つである直腸性便秘について解説します。

直腸性便秘とは


出典:便秘の原因|からだの症状|くすりと健康の情報局
直腸性便秘では、便は直腸にまで運ばれてきています。通常であれば便が直腸にまで運ばれると人は便意を感じます。便意を感じれば当然排便したいため、トイレに行き、必要に応じていきむなどの行動をとり、排便に至ります。しかし直腸性便秘では便が直腸にまできていても肛門の機能が悪くなっているために便意を感じることができません。そのため、便が直腸から先に進まずに肛門から外にだされません。こうして直腸に大便が長い時間とどまると、便の水分が腸で吸収されます。水分が吸収されると便はどんどん固くなります。固くなった便は肛門の奥にふたをしてしまうような状態になり、便の出口をふさいでしまいます。このような段階を経て排便が難しくなった状態が直腸性便秘です。直腸性便秘は弛緩性便秘を合併することがあるのが特徴です。

直腸性便秘の原因

便が大腸を通って直腸にまで下りてくると、直腸に便がたまります。直腸に便がたまると直腸の壁は便によって引き伸ばされます。便で直腸の壁が引き伸ばされると、その刺激で便意が起こります。便意が起こることでトイレにいき排便するという行動がなされることになります。この一連の流れを排便反射といいます。直腸性便秘の原因は、日常的に便意を我慢してしまうことで、直腸が便意に慣れてしまい、便意を感じにくくなってしまうことです。直腸にある便意を脳に伝える神経の働きが弱くなったり、神経が鈍くなったりすることで起こります。どのようなことが原因でこのような状態になってしまうのかを説明します。

出典:便秘のいろいろ

便意を我慢、無視する

普段から便意を感じても我慢してしまったり、便意を無視してしまったりする癖がついている人は、直腸性便秘になりやすいです。人の体はよくできており、状況に慣れてしまったり、状況に対応してしまったりします。便意を感じても排便せずに我慢する、便意を無理におさえる、排便刺激を何度も無視することを日常的に繰り返していると、直腸にある便意を脳に伝える神経の働きが次第に悪くなります。便意を無視し続けていることで、脳も排便を促す命令を出さなくなってしまうのです。こうして直腸に便がたまっても便意を感じない状態ができあがってしまいます。

下剤や浣腸の多用・誤用・乱用

直腸の感覚が鈍くなる原因は便意を我慢することだけではありません。下剤や浣腸を間違って使ったり乱用したりすることも便意に対して感覚が麻痺する原因です。下剤や浣腸の乱用は直腸に対して過剰な刺激となります。便を出しやすいという理由で不適切に、過剰に下剤や浣腸を使っていると、直腸に強い刺激が高い頻度で与えられることになります。これを繰り返していると、直腸は弱い刺激に対して便意を感じなくなってしまします。このため、直腸に便が下りてきただけでは便意を感じない、直腸性便秘の状態になってしまいます。

肛門付近の病気

痔があると排便の時に痛みを感じることがあります。この場合、排便すると痛いので、便意があってもついつい排便を我慢してしまいます。こうなると上記のような便意を我慢することが原因の直腸性便秘になってしまいます。

直腸瘤


出典:スーパー便秘を招く直腸瘤
女性では排便の際にいきんだときに直腸に圧力が加わることで、直腸の前側が膣の中に向かってふくらんでくることがあります。これを直腸瘤といいます。直腸瘤はいきむことで直腸の圧力が強くなるとより病状が進行します。このため、直腸瘤を心配していきむことがはばかられるため、便意があるのに排便に結びつかず、直腸性便秘になってしまいます。
ただし、直腸流の場合、程度がひどく、物理的にも便の通過障害がある場合には、器質性便秘の分類になります。

アニスムス


出典:アニスムスとは?いきめばいきむほど出ない!
便意を感じていきむと下腹部に力が入るため腹圧があがります。このとき、腹圧はあがりますが排便のために通常は肛門の筋肉はゆるみます。こうして腹圧によって直腸の便が外に押し出され、このときに肛門がしっかりとゆるんでいるために便が外にだされます。しかし、排便しようとしていきむときに肛門の周囲の筋肉が緊張してしまい、便の出口である肛門を閉めてしまうことが癖になっている人がいます。これをアニスムスといいます。

加齢

年齢が進むといろいろな体の働きが衰えてきます。直腸にある便意を脳に伝える神経も例外ではありません。加齢によって、便意を脳に伝える神経の働きが弱くなると、便が直腸にたまっても便意を感じなくなります。また、加齢により、腹筋の筋力が弱まります。腹筋の筋力が低下すると、排便の際に腹圧を十分にかけられなくなります。腹圧が十分にかからないと直腸の便を肛門からそとに出すことができなくなります。これも直腸性便秘の原因となります。

直腸性便秘になりやすい人

    • 高齢者
    • 寝たきりの人
    • 排便を我慢する習慣がある人

痔がある、恥ずかしいなどが理由で排便を我慢してしまう癖がある人は直腸性便秘になりやすいです。

直腸性便秘の治療

下剤や浣腸を乱用しない

下剤や浣腸を乱用することで直腸に過剰な刺激が加わり、それによって直腸の便意を伝える神経があまり働かなくなってしまいます。したがって、下剤や浣腸を乱用しないことが直腸性便秘の予防にも治療にも有効です。とくに刺激性下剤はお腹の痛みの原因になることがありますので、その点からもおすすめできません。

水様性食物繊維の摂取

食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。直腸性便秘の場合、不溶性食物繊維の取りすぎで症状が悪くなる可能性があります。不溶性食物繊維は便のかさを増やすことがあるからです。直腸性便秘では直腸に便がたくさんたまっています。そのような状況で不溶性食物繊維をとることで、さらに便のかさがまし、便の詰まりをひどくしてしまう可能性があるのです。直腸性便秘の方では、水溶性食物繊維と水分を十分にとることで、やわらかくてかつカサもある便の状態をつくることが便秘の解消に役立ちます。

規則的な排便習慣をみにつける

起床時のコップ1杯の冷水

朝起きたときにコップ1杯の水を飲むと、それが刺激になって腸が動きます。胃の中に食べ物が入っていない空っぽの状態で冷たい水を飲むのが効果的です。こうすることで腸の蠕動運動が活発になり、排便につながりやすいです。また、睡眠中には人はコップ1杯程度の汗をかくといわれており、起床時は水分不足のリスクがあります。朝起きてすぐの飲水で水分補給をしつつ、また冷たい水で目を覚ますという習慣をつくるといいです。

朝食をしっかりと食べる

朝起きたときにコップ1杯の冷水を飲むことに加えて、朝食をしっかりと食べることでさらに腸の蠕動運動が促進されます。これを行わないと腸の動きが活発化されないため、体が便秘の改善にむかいません。朝の忙しい時間にしっかりと朝食をとるのは難しいかもしれませんが、便秘の改善にはとても大事なことなので、早起きして努力してください。

朝食後にトイレの時間を確保する

朝起きてコップ1杯の冷たい水を飲んで、朝ご飯をしっかりと食べると腸の蠕動運動が促進されます。そうすると、おなかが動いている感じがします。うまくいくと軽い便意を感じます。この便意がとても大切です。便意を我慢してしまわずに排便に結びつけることを習慣にするのが便秘の改善にはとても重要です。少しでも便意を感じたらトイレに行き、便意がおさまらないようにトイレで排便するための時間を十分に確保しましょう。朝、忙しいとこの時間を確保できないと思います。せっかく感じた便意を我慢してしまうと脳は便意を無視していいのだと勘違いしてしまい、便意そのものを感じる力が落ちてしまい、いわゆる直腸性便秘の悪化につながります。

まとめ

直腸性便秘について、原因や治療についてまとめました。治療のところで述べたことは直腸性便秘だけでなく、便秘一般の改善のために有効ですので、しっかりと実践してください。

 
ランキング1位
ランキング2位
ランキング3位