はじめに
お通じが悪いと日々の生活は非常に不快なもので、今現在も便秘の症状に悩まされているという方は非常に多いかと思います。
慢性便秘は、原因から「器質性便秘」と「機能性便秘」に分けられます。また、症状から、排便回数減少型と排便困難型に分けられます。さらに、病態から大腸通過正常型と大腸通過遅延型と便排出障害に分けられます。
今回、器質性便秘にはどのような症状や原因、対処法があるのか解説します。
参考サイト
【医師監修】器質性便秘とその症状とは? | ヘルスケア大学
【医師監修】病気の影響?器質性便秘の症状と原因について | ヘルスケア大学
便秘のいろいろ
便秘の種類とそれぞれの原因|酸化マグネシウムE便秘薬の便秘解消講座
器質性便秘とは!?【器質性便秘の症状や特徴を詳しく解説】
器質性便秘とは
- 大腸の形態的変化を伴う便秘
- 胃や腸、肛門などの消化管やその周辺に病気があり、それが原因で大腸が変形したり、腸の中が狭くなったりすることで、便の通過が妨げられ、排便がうまく行われない状態
- なんらかの病気によって便の通過が妨げられて起こります
- 便が作られ通過していく腸に何らかの障害がおきて、便のスムーズな通過が困難である状態
- 消化管に病気があり、それが原因で起こる便秘
- たとえば、腸閉塞になって腸がつまったり、ねじれたりした場合など
- たとえば虫垂炎などお腹の手術のあとの腸の癒着や、大腸の炎症、あるいは巨大結腸症のように腸の長さや大きさに異常があったり・腫瘍などによって腸管の中が狭くなった場合に起こる便秘
- 何らかの深刻な病気が潜んでいる場合も考えられ、大腸ガンによって便秘を引き起こしている可能性もある
- 大腸の形の異常や、傷を伴う病気がもとで起こる便秘
- 機能性便秘は生活習慣改善で治ることがあるが、器質性便秘は原因となる病気を治療しないと治らない
- 生活習慣の改善で解消できる一般的な便秘に対し、器質性便秘は病気が原因ですので病院での治療が必要になります
- 重大な病気が背景にあることがあり、放置すると命に関わることがある
- すみやかに医師の診察と治療を受ける必要があります。
器質性便秘の種類
- 狭窄性と非狭窄性に分ける方法や先天性と後天性に分ける方法がある
器質性便秘(狭窄性)
- 狭窄によって糞便の通過が物理的に障害されることによって生じる便秘。
- 原因として腫瘍性疾患(大腸癌、腹腔内腫瘍による壁外性圧迫など)と非腫瘍性疾患(クローン病、虚血性大腸炎など)があります。
器質性便秘(非狭窄性)
- 狭窄はないが、大腸の形態的変化によって生じる便秘。
排便回数減少型
- 大腸が慢性的に著明な拡張を呈し、糞便の大腸通過が遅延して排便回数や排便量が減少する便秘。
- 原因として巨大結腸などがあります。腹部X線検査や注腸X線検査等で大腸の著明な拡張を慢性的に認めることで診断します。
排便困難型=器質性便排出障害
- 直腸の形態的変化に伴って、直腸にある糞便を十分量かつ快適に排出できない便排出障害のために、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘。
- 原因として直腸瘤、直腸重積、巨大直腸症、小腸瘤、S状結腸瘤などがあります。
- 排便造影検査やバルーン排出検査等で診断され、軟便でも排便困難や不完全排便を生じる便排出障害であり、器質的病態が原因であるため器質性便排出障害と呼ばれます。
器質性便秘(先天性)
- 巨大結腸症
- 主に腸管が肥大して、結腸が巨大化してしまう疾患です。
- 腸(殆どがS状結腸から肛門側)の神経節細胞が先天的に無いか少ないため、排泄に必要な腸の運動が弱く、便やガスが滞留することで腸管が拡張して結腸が巨大化する病気
- 新生児期の発症が多く、胎便が出にくい、お腹が張り、ミルクを吐き、便秘をするなど腸閉塞症状が出ます
- 症状が急速に悪化して栄養障害をはじめとした深刻な状態になることがあります。
- 結腸過長症
- 先天的に結腸が過度に長い状態
- S状結腸が長いことが多く、移動性のことも多いため、移動性S状結腸過長症とも呼ばれます
- 腸捻転の原因になる危険性があります
- もともと日本人は欧米人に比べてS状結腸が長いため、欧米型の食事によって便秘になりやすいといえます。
器質性便秘(後天性)
- 後天性の場合は、特発性巨大結腸症・結腸ガン・直腸ガン・大腸ガン
器質性便秘の症状
- 便秘の原因になっている基礎疾患によって症状は異なる
- 一般的には次のような症状がでる
- 嘔気、嘔吐
- 強い腹痛
- 腹部膨満感
- 血便
- 粘液便
- 細い便
- 発熱
- 食欲不振
器質性便秘の症状の特徴
- 他の便秘より症状が強い
- 急に便秘になることがある
器質性便秘を引き起こす病気
- 大腸がん
- がんが便の通過を妨げます
- もともとは欧米人に多くみられた病気
- 食生活の欧米化で日本でも戦後に、急速に増加
- 症状としては、血便、残便感、便秘と下痢のくり返しなどがあげられます
- 便に血液や粘液が付着する、いびつな形になるときは要注意
- 早期は自覚症状がないため、定期的な検査で発見することが重要
- 大腸ポリープ
- ポリープが便の通過を妨げる
- 腸管癒着
- 腸や腹膜の炎症から腸管が癒着して便秘を起こします
- 婦人科系の病気、胃・十二指腸潰瘍、大腸の病気などで開腹手術をした後、腸管癒着が起こりやすい
- 腸狭窄
- 大腸憩室
- 腹膜炎
- 腹膜炎は腹膜の炎症のこと
- 細菌感染による病気
- 急性と慢性があり、器質性便秘の原因は急性腹膜炎です
- 便秘とともに発熱、悪寒、嘔吐などの症状を併発し、腹部の痛む部分が次第に広がっていく
- 急性腹膜炎は虫垂炎や急性胆嚢炎など、他の病気との合併症として起こるケースがほとんど
- 重篤な場合には死に至ることもある
- 腸閉塞
- 腸管が塞がってしまう病気のことで、イレウスとも呼ばれます
- 食べ物や消化液、ガスなどが腸から動けなくなり、溜まり続ける
- 原因としては、過去に受けた手術の影響、がんによる組織変化、ヘルニアなど
- 腸捻転
- 腸閉塞の一種
- 腸がねじれたことで腸が詰まる病気
- 症状・原因ともに腸閉塞と共通
- 潰瘍性大腸炎
- 大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性の病気
- 原因は不明
- 国から難病指定を受けています
- 症状は最初のうちは便が次第にゆるくなります。やがて血便が出たり、腹痛が起きたり、下痢と便秘をくり返すようになります。
- クローン病
- 大腸や小腸に原因不明の潰瘍ができるクローン病が、腸管を狭くします
- 腹痛、腹部の張り、血便や粘液便が見られることもあります。
- 子宮筋腫
- 子宮に硬いしこりができる婦人病
- 大きくなると腸を圧迫する
- 30代女性で4~5人に1人、40代女性で3~4人に1人が罹患している
- 原因はよくわかっていない
- 月経量が増えたり、出血が止まらなくなる
- 出血量の多さから貧血が続くこともあります
- 筋腫の大きさや部位次第で症状も変わってくる
- 卵巣嚢腫
- 大きいものは腸を圧迫する
- 子宮内膜症
- 出欠を繰り返すと腸が癒着する
- 後腹膜腫瘍
- 直腸瘤
- 直腸の一部に膣が入り込んでしまう
- 痔
- 痔による便秘が悪循環を生みます
- 便が硬くなり、排便で強くいきむようになると、肛門近くの静脈でうっ血が起きたり、肛門の粘膜から出血が起こったりします
- 痛みのあまり排便を我慢してしまい、さらに便が硬くなって状態は悪化します。
器質性便秘の治療
- 自分で食生活や生活習慣を変えただけでは治すことはできません。
- 病気が原因で、便の通過が物理的に妨げられている場合は、まず、元の病気を治すことが対処の基本と言えるでしょう。
- 病院に行き、器質性便秘の原因である病気を治療する必要がある
- 早い段階で専門医を受診することが大切
器質性便秘の予防
- 器質性便秘に対処するには、生活習慣の改善や食事療法をする以前に、原因となっている病気を治す必要がある
- 器質性便秘の原因となる大腸がんの予防ということであれば、禁煙、食事、運動、検診があげられる
- その場合、動物性脂肪の過剰摂取を避け、食物繊維を豊富に含む食事をとることが大切とされています。
器質性便秘の場合、重大な病気に罹っている可能性があります。該当する症状が見られたら、すぐに病院で診察を受けましょう。
器質性便秘以外の便秘
- 器質性便秘以外に、機能性便秘というタイプがあります。
- 生活習慣やストレス、加齢などの影響から、大腸や直腸の働きに異常が発生して引き起こされる便秘です。
- 機能性便秘は、弛緩(しかん)性便秘、痙攣(けいれん)性便秘、直腸性便秘の3つに分けられます。