はじめに

腸内細菌はとても多くの種類と数がいます。数百種類、100兆個以上になるといわれています。

非常にたくさん存在する腸内細菌ですが、その働きによって大きく3つに分類できます。その3つとは、善玉菌(有用菌)、悪玉菌(有害菌)、日和見菌です。

この記事ではこの3つについて説明します。

善玉菌、悪玉菌、日和見菌という言葉は誰が言い始めたのか

善玉菌、悪玉菌、日和見菌という言葉は、一般の方にもよく知られている言葉です。実はこの用語は1950年代に腸内細菌の研究を始めた日本の科学者が名付けたものなのです。

日本は腸内細菌の研究に最初に着手し、世界をリードしてきました。

善玉菌とは体に良い影響を与える菌である

善玉菌は人体に良い影響を与える菌の総称です。善玉菌という一つの菌がいるわではありません。カラダによい影響を与える菌をまとめたグループ名が善玉菌です。

善玉菌の代表的なものに乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌などがあります。

善玉菌は腸の中に悪玉菌が入ったり、腸の中で悪玉菌が増えるのを防ぎます。この結果、腸の動きがよくなり、お腹の調子がよくなります。

善玉菌にはビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌などがある

ヒトの善玉菌の代表的なものにビフィズス菌、乳酸菌、納豆菌などがあります。乳酸菌というのも総称であり、この中にさらにガセリ菌、ブルガリア菌、カゼイ菌などが含まれます。

善玉菌が増えることの効能

善玉菌が増えるとカラダにとっていいことがあります。善玉菌は具体的には、人体を病原体の侵入から守る、食物繊維を消化、分解するなど、消化吸収を助ける、ビタミン類を作り出す、神経伝達物質を作り出す、免疫系を刺激して免疫力を高めるなどの働きをしています。これらを通じて善玉菌はヒトのカラダの健康維持、老化防止に役立っています。

善玉菌は人体を病原体の感染から守っている

善玉菌が増えて腸内が酸性化すると、食中毒の原因となる菌や病原菌に感染しにくくなります。食中毒の原因菌や病気の原因となる菌は酸性の状態では生きにくいからです。腸内環境を整えることで腸内を弱酸性に保つと病原体に感染しにくいカラダになることができます。

善玉菌が増えると発がん物質の産生をおさえられる

善玉菌が増えると悪玉菌の力が弱まります。悪玉菌は発がん性を持つ腐敗物質を生成することが分かっています。悪玉菌に発がん性物質を作らせないためには腸の中の善玉菌を増やして悪玉菌の勢力をおさえておくことが大事です。このように善玉菌が増えると間接的に発がん物質の産生をおさえることができます。

善玉菌は腸の中でビタミンを作り出す

善玉菌は腸の中でビタミンを作ります。具体的には、ビタミンB1、B2、B6、B12、パンテント酸、ナイアシン、ビオチン、ビタミンKを作ります。善玉菌は腸の中でこのような大切なビタミンを合成します。

善玉菌のその他の効能

他にも善玉菌は消化管の粘膜免疫を高める、肌荒れを防ぐ、ダイエット効果がある、アトピー性皮膚炎やアレルギーを緩和する、虫歯になりにくくなるなど、さまざまな効果をもつと言われています。

悪玉菌とは体に悪い影響を与える菌である

悪玉菌は人体に悪い影響を与える菌の総称です。悪玉菌という一つの菌がいるわけではありません。善玉菌のときと同様、ヒトのカラダに悪い影響を与える腸内細菌を集めたグループの名前が悪玉菌です。

悪玉菌の代表的なものにウェルシュ菌、有毒株の大腸菌、黄色ブドウ球菌などがあります。

悪玉菌は腸の中で体に悪い物質をつくります。そのため、悪玉菌が増えると便秘や下痢になるなど、お腹の調子が悪くなります。

悪玉菌が増えるとカラダに悪影響がでる

悪玉菌は腸内で腐敗物質を作り出す、細菌毒素を産み出す、発がん物質を生成する、ガスを発生させるなどの働きをし、カラダに悪影響を及ぼします。その結果、健康が阻害される、病気の原因になる、老化が促進されるなどに至ります。

日和見菌とは善玉菌にも悪玉菌にも属さない菌である

腸内細菌のうち、善玉菌でも悪玉菌でもない中間の菌を日和見菌といいます。日和見菌はその時々の個人の体調や身体の抵抗力によって良い菌にも悪い菌にもなりえます。日和見菌は健康なときはおとなしいですが、からだが弱ったりすると腸内で悪さをし始めます。日和見菌は善玉菌、悪玉菌のうちどちらか勢力が強い方の味方をします。

日和見菌の代表的なものに、バクテロイデス、無毒株の大腸菌、レンサ球菌などがあります。

善玉菌、悪玉菌、日和見菌のバランスが腸内環境である

腸の中では善玉菌と悪玉菌が常に勢力争いをしています。善玉菌の勢力が優勢になると日和見菌は善玉菌の味方をします。逆に悪玉菌の勢力が優勢になると日和見菌は悪玉菌の味方をします。このように、腸の中での善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合は常に変化しています。そして、この善玉菌、悪玉菌、日和見菌の割合のことを腸内環境といいます。

理想的な腸内環境は善玉菌2割:悪玉菌1割:日和見菌7割である

善玉菌、悪玉菌、日和見菌の比率により腸内環境の良し悪しが決まります。理想的な腸内環境は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7の状態です。お腹の調子が悪い人は悪玉菌の割合が多くなっている可能性があります。

腸内環境が悪化しているサイン

実際の腸内フローラは検査をしないと分かりません。しかし、病院や診療所を受診しても腸内フローラの検査はしてもらえません。では自分の腸内環境がいいか悪いかはどのように判断すればよいのでしょうか。おならのニオイや便のニオイが強い、あるいは便秘や下痢など、排便に難がある人は悪玉菌が優勢になり、腸内環境が悪化している可能性があります。

善玉菌を増やすにはオリゴ糖を食べるとよい

オリゴ糖は善玉菌のエサになります。オリゴ糖を食べると善玉菌は元気になり、乳酸や酪酸などの酸を産生します。その結果、腸内は弱酸性になり、酸性の環境が苦手な悪玉菌の数が減り、善玉菌の数が増えます。これにより腸の運動が活発になり、便秘の予防や解消につながります。

悪玉菌が増える原因

悪玉菌は、脂質の多い食事、不規則な生活、過度なストレスなどが原因で増殖します。悪玉菌が増えると便秘などを引き起こしますが、この便秘がさらに悪玉菌を増やす原因になります。悪玉菌の増殖をおさえるために、タンパク質や脂質が中心の食事をしている人や不規則な生活に心あたりのある人は、積極的に善玉菌のエサとなるオリゴ糖を摂るようにするのがおすすめです。他にもバランスのとれた食事や規則正しい生活を心がけるとともに、ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆や漬物など、ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品を摂るようにするとよいです。

しかし、最新の研究では・・・

これまでに腸内細菌を善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3つに分けて説明してきました。しかし、最新の研究ではこれらの分類にはあまり意味がないのではないかと考えられています。

善玉菌であると考えられていた菌がカラダに良い働きをしないことがあることが分かってきました。また、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7の割合が最も腸内環境が良好な状態と考えられてきましたが、実際には最善の比率は個人によって異なるようです。

このように腸内細菌の研究はめまぐるしい勢いで進歩しています。当サイトではこれまでに常識と考えられてきたことを説明しつつも、できるだけ最先端の情報も掲載していきたいと考えています。

 
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