はじめに

便秘と腎臓には密接な関係があることがわかってきました。便秘は腎臓を悪くするのです。さらに便秘の程度がひどいと腎不全の程度もひどいうということもわかってきました。これには腸内細菌も関係しています。この記事では便秘と腎臓の関係について解説します。

参考サイト

腎不全とは

腎不全とは、腎臓の働きが低下してしまう疾患です。腎不全には、急性腎不全と慢性腎不全があります。

急性腎不全は、一時的に腎臓の機能が低下している状態で、完治させることが可能です。

慢性腎不全では腎臓の機能が徐々に低下していきます。進行を十分に抑制することは難しく、人工透析の患者が全国で30万人を超えて増え続けています。

腎不全や透析患者の方の便秘の原因

食物繊維の不足

腎臓が悪い方はカリウムをとりすぎてはいけません。そのため、食物繊維を多く含む野菜、乳製品、豆類、海藻類を充分に摂取できません。これが腎不全の方が便秘になる原因です。

水分の不足

透析患者さんは生活に水分制限があり、水分をたくさんとることができません。便に行きわたる水分も不足するため、便が硬くなり、排便するのが難しくなります。

糖尿病による自律神経障害

腎機能障害や透析導入となる原因に糖尿病が原因の腎障害があります。この場合、糖尿病の合併症として神経障害もあるので、自律神経障害が原因の便秘になります。

薬剤

腎不全患者は血中のカリウム濃度を下げるためにイオン交換樹脂製剤(商品名カリメートなど)を内服していることが多いです。また尿毒素であるインドキシル硫酸の吸収を減らすために球形吸着炭製剤(クレメジン)なども服用していることが多いです。これらの製剤は便秘を引き起こしがちです。

運動不足

腎機能障害がある人の中には程度はさまざまでしょうが体調がすぐれない方もいるでしょう。必然的に運動不足になるのも仕方ないといえます。

便秘や腸内細菌の乱れが腎機能障害を悪くする

これまで腎機能障害の方が便秘になりやすい理由をみてきました。

今度は逆に便秘や腸内細菌の乱れが腎機能障害を引き起こすという点に注目します。

以前から腎臓を専門とする医師の間では腎不全患者は便秘になりやすく、また便秘が腎不全患者の予後を悪化させると考えられてきました。近年の研究で、腸内細菌の変化や腸内細菌が産生する尿毒素が悪さをして腎機能低下を引き起こすことがわかりました。

腎臓病で蓄積する尿毒素にはいろいろなものがあります。最も悪い作用をするのもにインドキシル硫酸があります。これの産生にも腸内細菌叢がかかわっています。

便秘があると慢性腎障害や末期腎不全になりやすいのです。さらに、便秘の重症度が高ければ高いほど末期腎不全への進展率が高まることもわかりました。

便秘が原因で不要なものが体内に吸収される

便秘を起こすことで腸管内における便の滞留時間が延びます。そのため、カリウムや尿毒素が腸の粘膜からより多く吸収されてしまいがちです。

便秘は腸管内圧を上昇させます。腸管上皮が傷つき、尿毒素やエンドトキシンなどの有害物質の吸収が促進されやすくなります。

アミティーザは慢性腎臓病の進行を抑制する

アミティーザカプセル(一般名:ルビプロストン)は2012年に発売された下剤(瀉下薬、便秘薬)です。1980年以降、約30年ぶりに発売された新しい下剤であり、従来の下剤とは異なる作用機序で排便を促します。

アミティーザは腸管内の塩素イオンチャンネルを活性化させて、腸液の分泌を増加させます。その結果、腸管内容物の移動が促され、便秘が改善します。

便秘で腸の中の圧力が高まると腸壁が傷つき、壊されるため、腸の中の毒素がカラダに入り込みます。この毒素が腎臓に悪さをします。

アミティーザを飲むと腸液の分泌が増えるので、腸壁の障害を抑えることができ、結果として腎障害の進行を防ぐことにつながります。

アミティーザは腎障害の人の腸内の善玉菌の数を増やす

最近では次世代シークエンサーと呼ばれる新しい技術があり、善玉菌、悪玉菌、日和見菌などの腸内フローラを以前より詳しく調べることができるようになりました。

腎不全の方はLactobacillusやPrevotellaといった腸内の善玉菌が減少している可能性があります。。アミティーザを投与すると腸内の善玉菌の減少をおさえ、腸内細菌叢を改善し、尿毒素の血中濃度を下げることができる可能性があります。

便秘を改善して透析導入を遅らせる試みがある

一部の腎臓内科医は便秘を改善することで腎障害の患者さんが透析しなければいけなくなるのを防ぐ試みをしています。

緩下剤を使い、便の滞留を減らすことで腸内の窒素がカラダに吸収されるのを防ぎ、BUN(尿素窒素)を低下させるのです。このために、ラクツロース製剤(モニラックなど)が使われています。

まとめ

便秘と腎臓の関係をみてきました。腎機能障害が便秘の原因になりますが、便秘も腎機能障害を悪化させます。腎不全の人は腸内細菌叢を改善して腎障害の進行をおさえることが大事です。

 
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