はじめに

便秘の原因として食物繊維の摂取不足があることを知っている人は多いと思います。では、もう一つ、運動不足も便秘の原因になることを知っている人は少ないのではないでしょうか。運動不足と便秘はあまり関係がなさそうに思えますが、実は便秘の原因として運動不足はとても大事です。

ここではなぜ運動不足が便秘の原因になるのかを分かりやすく説明します。

運動不足が便秘の原因になる理由をしっかりと理解しないと便秘解消のために運動を行うモチベーションが維持しづらいからです。なぜ体を動かさないといけないかを充分に理解することでその必要性が認識できるため、運動を習慣的に行うことができるようになります。

便秘の解消のために始める適度な運動習慣ですが、便秘の改善効果があるだけでなく体全体の健康増進に効果があります。さらには、体の健康だけでなく心の健康にも運動は重要です。適度な運動は健康の維持にとても重要な役割を担っているのです。

どうして運動不足だと便秘になるのか

運動不足になると体の筋肉を動かす頻度が減ります。筋肉は使わないと筋力が低下します。このように運動不足では筋肉を活用する機会が減るために筋力が低下します。この筋力の衰えが便秘の原因になります。
運動不足だとストレスがたまるとは必ずしもいえないかもしれません。しかし、適度な運動はストレスを軽減するのに役立つのは事実です。ストレスは胃や腸の動きを司っている神経である自律神経の働きを乱します。自律神経の働きの乱れは便秘を引き起こします。運動をすることでストレスを解消することができます。ストレスが解消すれば便秘の改善につながります。
つまり、運動不足は筋力の低下を引き起こすこととストレスを効果的に解消する機会を逃すことで自律神経の働きを乱すことを通じて便秘の原因になるというわけです。

筋力が低下するとどうして便秘になるのか

運動不足による筋力の低下は、いきむことで便を出すために必要な力が充分に入らない、腸が便を肛門にむかって運ぶ動きである蠕動運動を弱める、大腸をお腹の中の正しい位置に保つことができないために腸の働きが低下するという3つの理由で便秘につながります。

いきむことで腹圧が充分にかかることが排便には必須である

排便するときは腹筋に力をいれていきむことが必要です。いきむことでお腹の中に圧力が生まれます。この圧力を腹圧といいます。腹筋、とくに腹直筋を使ってお腹にぐっと力が入ると腹圧が上がります。この腹圧によって腸が外側から押されて腸に刺激が与えられます。腸は刺激が与えられるとすぐに反応する臓器です。腹圧の刺激で腸の蠕動運動が促進されるとともに、お腹の中の便が肛門から外に押し出されます。腹筋を中心とするお腹周りの筋力が低下しているといきんでも腹圧が充分にかかりません。このような状態だと便を充分に肛門から押し出すことができなくなり、便秘になります。

運動不足だとなぜ腸の蠕動運動が弱まるのか

腸は蠕動運動をすることで腸の中身を口側の腸から肛門側の腸へ送り出しています。蠕動運動がしっかりと行われるためには、お腹の筋肉がきちんと働くことが必要です。蠕動運動のために最も大事な筋肉は腸腰筋です。腸腰筋は大きく大腰筋と腸骨筋に分けられます。腸腰筋については下の画像をみてください。

出典:腰椎に付着する筋肉~腸腰筋~
運動を行う、特に歩いたり走ったりすることで腸腰筋が柔軟に動きます。腸腰筋の近くには腸が走っています。腸腰筋が動くことで腸に適度な刺激が与えられます。この刺激により腸の蠕動運動が促されます。運動不足だと腸腰筋の動きが悪くなります。腸腰筋の柔軟性の低下は腸への刺激の低下につながり、蠕動運動の低下につながります。蠕動運動が低下すると腸の内容物は肛門側にむかって運ばれにくくなるため、腸の内容物が腸の中に長くとどまることになります。大腸は水分を吸収する働きがあるため、腸の中に長くとどまった便からはどんどん水分が吸収されます。そうすると便はしだいにとても固くなります。固い便は言うまでもなく便秘の原因になります。

筋肉によって大腸はお腹の中の正しい位置に保たれている

内蔵は筋肉などの支えがあるからこそ正しい位置に正しい形で存在することができます。特に大腸は周りの筋肉やじん帯、お腹の中の臓器をおおっている薄い膜である腹膜などによってあるべき位置に保たれています。運動不足では筋力が低下します。大腸の周りで大腸を支えている筋肉の力が低下すると、大腸は本来あるべき位置に保たれなくなります。お腹の臓器は正しい位置にあることによって最も効果的に働くことができます。運動不足による筋力の低下が原因で大腸が正しい位置に支えられなくなると、大腸の働きが弱まり、蠕動運動が充分に行われなくなります。蠕動運動の低下は便秘の発症につながります。

運動不足だとストレスが解消できないために便秘になりやすい

適度な運動を行うことはストレスの解消につながります。体を動かすことは気持ちのいいことだからです。特にウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動はストレスを解消してリラックスするのに役立ちます。またサッカー、野球、テニスなどなんでも良いですが、好きなスポーツがあってそれを趣味として定期的に行い楽しんでいる人はストレスがたまりにくいことは誰でも想像できると思います。
ストレスがたまると自律神経の働きに悪影響がでます。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。このうち、胃や腸の動きを促進して消化を助けているのは副交感神経です。しかし、ストレスがたまると交感神経が優先的に働いてしまい、副交感神経の働きは抑えられてしまいます。
以上より、運動を定期的に行うことでストレスをためにくい習慣をつけることは、自律神経の働きを整えることにつながり、便秘の予防に効果的であることがわかります。

おわりに

ここでは運動不足が便秘の原因になる理由を説明しました。運動不足による腸腰筋の筋力低下が腸の蠕動運動の低下を引き起こし、腹筋の筋力低下は排便に必要な腹圧の上昇をもたらすことができないことにつながり、運動不足からくるストレスの増加も自律神経のバランスを崩すことで便秘につながります。またお腹周りの筋力の低下は大腸を正しい位置に保つことができないことにつながり、それによっても大腸の機能を十分に発揮できないことにつながり、便秘に至ります。運動不足がいかに便秘と関連しているかを理解して、定期的な運動習慣を身につけましょう。

 
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