はじめに

3日以上便がでなかったり、1周間に2回以下しか便がでなかったりすることを便秘といいます。便秘は体質であると考えている人が多く、何が原因で便秘になっているのかに目をむける機会は少ないです。実際に便秘の原因がよくわからずに、そういう体質であると言わなければならないような便秘も存在します。

しかし、便秘の原因が明らかになればそれに応じた対応をすることができます。そうすることで薬に頼らなくても毎日すっきりとしたお通じを出せるかもしれません。

このページでは便秘の原因について解説します。自分の便秘の原因としてあてはまりそうなものがあれば、それを改善することができるかどうかを考えてみてください。

市販の便秘薬の中には長く使うことで薬が効きにくくなり、結果として便秘を悪化させて長引かせてしまうものがあります。薬に依存しないと便がでないような状態になってしまう前に、生活改善などの努力で便秘が治らないかを考えてみましょう。

便秘の主な原因

便秘の主な原因には、食事の量が少ない、食物繊維の摂取が不足している、運動不足である、睡眠不足である、ストレスが強い、腸内環境が悪い、水分の摂取不足、便意を我慢する癖がある、薬の副作用、大腸がんや甲状腺機能低下症など他の病気があるなどがあります。以下でそれぞれの原因について簡単に説明します。

便秘の原因

  • 食事量が少ない
  • 食物繊維の摂取不足
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • ストレス
  • 腸内環境が悪い
  • 水分の摂取不足
  • 便意を我慢する癖がある
  • 薬の副作用
  • 他の病気がある

食事量が少ないと便秘になる

ダイエットなどをした際に、食べる量を減らしたら排便の回数が減ったという経験をした方もいるのではないでしょうか。逆に、食べ放題などでたくさん食事を食べた翌日にたくさんの便がでたという人もいると思います。
お通じは食べたものから作られます。食べたものから体に必要な栄養が吸収されたあとの残りカスが便のもとになります。したがって、食べる量が少ないと便をつくるもととなる材料が少なくなるので、便の量自体が少なくなります。腸の中に便がある程度の量存在することで腸にほどよい刺激が加わり、腸の蠕動運動が促されます。
蠕動運動とは、腸が拡がったり縮んだりすることを繰り返すことで腸の内容物を腸の口側から肛門側にむかって送り出す運動のことをいいます。
腸の中身が少ないと腸の蠕動運動が低下し、腸の中に便が長くとどまります。大腸は水分を吸収する働きがあるので、腸の中に便が長くとどまっていると、便から水分がどんどん吸収されて、便はかちかちに硬くなっていきます。便が硬いと便はさらに肛門からでにくくなります。
これが食事量の不足が便秘を引き起こすメカニズムです。

食物繊維の不足が便秘の原因となる

食物繊維の摂取量が足りないと便秘になります。この理由を知るためには食物繊維の働きを知らなければなりません。
食物繊維は便のかさを増やします。腸の中の便のかさが増えると、腸は溜まった便を肛門にむかって運ぼうとして、蠕動運動を起こします。このように食物繊維は腸の蠕動運動を促すことで便秘の改善に役立ちます。
また、食物繊維には腸の中の有害な物質を吸い付けて腸の毒素を掃除する働きがあります。食物繊維によって腸の掃除がなされることで、腸の中の善玉菌の数が増え、悪玉菌の数が減ります。このように食物繊維は腸の中の善玉菌の比率を増やすことを通して便秘の解消に役立ちます。

運動不足が便秘の原因となる

お腹からうんちを体の外に出すためには、そのために働く筋力が必要です。重いものを持ち上げたり、運んだりするのに筋力が必要だというのは分かりやすいので、理解できない人はいないと思います。排便にも筋力が必要だというのはイメージしにくく、分かりにくいので理解しづらいでしょう。
しかし、事実として排便にはある程度の筋力が必要なのです。排便に必要な筋力が低下しているために便秘になっているというパターンの人が実際にいるということです。
このタイプの便秘の人は、排便に必要な筋力を鍛えることで便秘を解消できる可能性があります。排便に必要な筋力は運動で鍛えられます。
また、日常的に運動をしていない人が習慣的に運動をし始めると、自律神経の働きが整います。自律神経の働きは腸の蠕動運動に直接影響します。運動で自律神経の働きがよくなると腸管の動きが改善し、このことでも便秘が改善にむかいます。
また、運動不足は腸の蠕動運動を行うための筋肉の力の低下にもつながります。運動をすることで蠕動運動を行うための筋力も鍛えられ、蠕動運動の促進につながります。蠕動運動が改善すれば当然便秘は解消にむかいます。

睡眠不足やストレスが便秘を引き起こす

睡眠不足やストレスも便秘の原因になります。睡眠不足やストレスは自律神経の働きに悪影響を及ぼすからです。
自律神経は体温、心臓の動き、胃や腸の動き、汗をかくなど、自分の意志ではコントロールすることが難しい体の状態を調節している神経です。自律神経は交感神経と副交感神経の2つに分けられます。交感神経は活発に動いているときや緊張しているときなどにはたらき、副交感神経は休んでいるときやリラックスしているときなどにはたらきます。
この2つの神経は交互にはたらきます。交感神経が強くはたらいているとき、副交感神経は弱くはたらきます。逆に副交感神経が強くはたらいているとき、交感神経は弱く働きます。
胃や腸の動きなど、食べ物の消化・吸収に関する体の働きは、副交感神経が優位に活動しているときに活性化されます。
ストレスがあり、リラックスできないと交感神経が優位になってしまい、腸の動きは弱くなります。副交感神経は睡眠中によく働くため、睡眠不足でも副交感神経の働きが弱くなり、腸の動きが悪くなります。
さらに、ストレスは体のホルモンバランスを崩すことがあります。これもストレスが便秘の原因になる理由の一つです。

腸内環境の悪化は便秘の原因になる

腸内環境とは具体的には腸内の細菌のバランスのことです。腸内には100種類以上の細菌がすんでいます。これらの腸内細菌は大きく3つに分けられます。善玉菌、悪玉菌と日和見菌です。
善玉菌はビタミンをつくる、免疫力を高める、腸内を酸性に保ち排便を促すなどの働きをしています。
悪玉菌は腸の中で有毒物質をつくる、便秘や下痢を起こりやすくするなどの働きをしています。
日和見菌は腸の中の善玉菌が多い時には善玉菌の味方をし、悪玉菌が多い時には悪玉菌の味方をしています。
腸内環境の悪化とは、具体的には腸内に悪玉菌が増え、日和見菌も悪玉菌の味方をしている状態のことをいいます。このような状態では便やおならがとても臭かったり、お腹にガスがたまりお腹が張る、痛むなどの症状がでたり、便秘や下痢など、お通じの異常が起こりやすくなったりします。

水分不足は便を固くし、便秘の原因となる

水分の摂取が足りないと体は脱水になります。脱水で体の水分がたりないと、便に十分な水分を含ませることができません。水分の量が少ない便はとても硬くなります。硬い便は腸の蠕動運動で肛門側に運ばれにくく、また肛門の近くまで運ばれたとしても肛門から出しにくいため、便秘の原因になります。

出典:便秘の原因|便秘なんでもネット

便意を我慢する癖がある

うんちをしたいと思っても我慢することを繰り返していると便秘になります。腸の蠕動運動によって便が大腸から直腸に運ばれてきて、直腸にある程度の量の便がたまると便意を感じます。便意を感じると同時に腸の出口である肛門のところを閉じている筋肉がゆるみます。また直腸の蠕動運動が活性化され、便をだす準備が整います。このように、直腸に便がたまることで便意を感じ、肛門の括約筋がゆるみ、直腸の蠕動運動が活発になることを排便反射といいます。
排便反射が起こり、うんちをしたいと感じても、我慢してしまうと便意はおさまってしまいます。たとえば、高速道路を運転中である、大事な会議で発表中であるなど、どうしてもすぐにトイレに行けない状況であれば便意がおさまってくれた方がいいです。しかし、どうにも致し方ないような状況でもないのに習慣的に便意を我慢してしまうことを繰り返していると、やがて排便反射は起こらなくなります。直腸に便がたまっていても便意を感じなくなるのです。これがいわゆる直腸性便秘です。
便意の我慢は排便反射の消失をおこし、便秘の原因となるので、便意を感じたら我慢せずに排便することが大事です。

薬の副作用でも便秘になる

病院でだされた飲み薬が原因で便秘になることがあります。入院中の患者さんの場合、点滴の薬でも便秘になることがあります。このような場合、他の治療薬に変更することが可能であればそうすることで便秘が改善することがあります。薬が原因でおこる便秘を薬剤性便秘といいます。

高齢者は多くの薬を内服しています。ですので薬剤性便秘には注意が必要です。

便秘の原因になる可能性がある薬

  • 咳止め薬
  • 抗がん剤
  • 不整脈用剤
  • 血圧降下剤
  • カルシウム拮抗薬
  • 抗うつ薬
  • 抗コリン薬
  • 向精神薬
  • 抗てんかん剤
  • 鎮痙剤
  • 抗生物質

病気の症状の一つとして便秘になっている

病気が原因で便秘になることがあります。これにはとても注意が必要です。たとえば大腸がんは大きくなると腸の内側のスペースをどんどん狭くしていきます。そうすると腸がいくら蠕動運動をしても便は狭いところを通過できないので、便秘になります。このように、便秘の原因となる病気がいくつかあります。

便秘の原因となることがある病気

腸の内腔が狭くなる病気
  • 大腸がん
  • クローン病
  • 虚血性腸炎

出典:便秘の原因|便秘なんでもネット

これらの病気では腸の内側の空間(内腔)が狭くなります。そのため、便の通りが悪くなり、便秘になります。

腸の一部の構造に変化が起きる病気
  • 直腸瘤
  • 直腸内重責
  • 巨大直腸症
  • 小腸瘤
  • S状結腸瘤

出典:便秘の原因|便秘なんでもネット

これらの病気では腸の構造に異常が起こります。そのため、便の通過が悪くなり、排便困難に陥ります。

いわゆる症候性便秘を起こす病気
  • 甲状腺機能低下症
  • 糖尿病
  • パーキンソン病

これらは内科の病気ですが、その症状の一つに便秘症があります。このように、疾患の症状の一つとしてあらわれた便秘を症候性便秘といいます。

便秘の原因になるその他の病気
  • 腹膜炎
  • 腸閉塞
  • 腸捻転
  • 潰瘍性大腸炎
  • 子宮筋腫

女性は妊娠が原因で便秘になることがある

妊娠すると子宮が大きくなります。子宮も腸も骨盤の中にあります。子宮が大きくなることで腸の外側から腸が圧迫されることがあります。圧迫された腸は押し潰されることで腸の内腔が狭くなり、便の通りが悪くなります。このように妊娠が原因で便秘になることがあります。
また、妊娠するとホルモンのバランスが妊娠前と変わります。たとえば黄体ホルモンは妊娠中に分泌量が増加します。黄体ホルモンには大腸からの水分の吸収を促進する働きがあります。便の水分が減ると便は固くなり、排便が難しくなります。

おわりに

自分の便秘の原因について知ることができればそれを改善することで便秘を治すことができる可能性があります。便秘の治療では安易に下剤を使うのではなく、生活習慣で改善できることがないかをよく考えることがとても大事です。
上記の便秘の原因の中には、自分の努力ではどうにもしようがないものもありますが、逆にどのようなタイプの便秘だとしても気をつけなければならない項目もあります。このページに書いた便秘の原因について参考にし、自分の生活改善に役立ててください。

 
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