はじめに

機能性便秘のうちの一つに弛緩性便秘があります。今回は弛緩性便秘について解説します。弛緩とはゆるむ、たるむなどという意味です。たとえば、力を抜くことを筋肉を弛緩させるなどと表現します。

弛緩性便秘とは

弛緩性便秘は一番代表的な便秘です。日本人に最も多いタイプの便秘です。特に高齢者の便秘に多いです。また腹筋の弱い女性や運動不足の男性にもみられます。慢性化しやすく、常習化しやすいのが特徴です。弛緩性便秘は直腸性便秘と合併することがあります。

弛緩性便秘が起こるメカニズム

本来、健康な腸は一定のリズムで緊張しては緩んでを繰り返す蠕動運動をしています。この蠕動運動によって腸は腸の中のものを肛門に向かって送り進めることができます。しかし、大腸の力が弱くなり、腸の緊張が低下して大腸の緊張がゆるみっぱなしになると大腸は蠕動運動を力強く行うことができなくなります。こうなると、腸の内容物はスムーズに腸内を通過しなくなります。腸の中に内容物が長い時間とどまると、腸の壁から腸の中身である便の水分がどんどん吸収されます。過剰に水分が吸収されると便はとても固くなります。このようにしておこる便秘が弛緩性便秘です。

出典:便秘のいろいろ

弛緩性便秘の原因

弛緩性便秘は大腸の運動が低下することで起こります。大腸の運動が低下する原因には次のようなものがあります。

腹筋の筋力低下

直腸にまで送られてきた便を肛門から体の外に出すには腸の力が必要です。このときの腸の力のもとになるのが腹筋の力です。腹筋の筋力が弱まると、排便の時に十分にお腹に力が入らない、すなわちしっかりと腹圧をかけることができなくなります。腹圧が不十分だと直腸にたまった便を押し出せない

胃・結腸反射が弱い

胃・結腸反射が弱い 胃・結腸反射とは胃に食べ物が入るとそれに反応して結腸の大蠕動が起こること 食事の量が少ないと起こりにくい

大腸の筋緊張低下

大腸の筋肉がゆるみ緊張が低下すると、腸の動きが鈍くなります。運動不足が原因になることもあります。このような方は結腸の大蠕動が少なくて弱くなります。

弛緩性便秘の誘因

  • 運動不足
  • 水分不足
  • 食物繊維不足
  • 腹筋力の低下
  • 極端なダイエット

弛緩性便秘はどんな人に多い?

  • 高齢者
  • 寝たきりの人
  • 運動不足の人
  • 妊娠直後の女性
  • 妊婦
  • 出産回数の多い女性

これらの人の共通点は何でしょうか。答えは、腹筋などの筋力が低下しやすいことです。あまらい動かずに寝ていることが多い人は弛緩性便秘になりやすいです。

弛緩性便秘の症状

弛緩性便秘の症状には、以下のようなものがあります。

固くてコロコロとした便がでる

弛緩性便秘では腸の内容物が肛門まで運ばれるまでの時間が長くなるため、水分が多く吸収されます。腸の内容物から水分が多く吸収されると便が固くなります。このようにして固くてコロコロした便がでるのが弛緩性便秘の特徴です。

お腹がはる

弛緩性便秘では便が腸の中に長い時間とどまります。腸の中が便でいっぱいになると、お腹がはります。

食欲が低下する
残便感がある
食欲低下
肩こり
肌あれ
イライラ
便意をあまり感じない

弛緩性便秘の治療

食生活の改善
食物繊維の摂取

弛緩性便秘の方は腸の蠕動運動が弱くなっています。腸の蠕動運動を活発にするための方法に直接腸を刺激するというものがあります。根菜や緑黄色野菜などの不溶性食物繊維の多い食事をすることで、腸をダイレクトに刺激することができます。ちなみに食物繊維を多く含むために食べることが推奨されるものに野菜、果物、イモ類、豆類、きのこ類、海藻類などがあります。バナナやひじきなども有効です。

1日3食しっかりと食べる

ダイエットなどで食事量が減ると腸への刺激が減ります。食べ物による腸への刺激が低下すると、それに反応した腸の蠕動運動も低下します。こうなると弛緩性便秘になりやすいです。1日3食しっかりと食べることが弛緩性便秘の改善に有効です。

生活習慣の改善
適度に運動する

適度な運動で腸の周りの筋力の衰えを改善することで、腸の蠕動運動が元通りになります。結腸の周りの筋力を鍛えるにはジョギングやウォーキングなどが有効です。ジョギングは15分以上、ウォーキングは20分以上できることが望ましいです。雨で外にでられないときなど、室内用ミニトランポリンで体を動かすのも効果的です。

腹筋を鍛える

弛緩性便秘の人は腹筋が弱いことが多いです。腹筋が弱いと腸の力も弱くなります。腸の蠕動運動は腹筋と関連があるのです。筋力トレーニングで腹筋を鍛えることで腸が腸の中身を肛門にむかって送り出すために必要な蠕動運動が再度力強く行われるようになります。この腹筋をどのように鍛えるかですが、忙しくて腹筋運動をする時間がとれない方もいるかもしれません。そのような場合には、姿勢をただすだけでも腹筋が鍛えられるため、日頃意識して正しい姿勢を保つとよいでしょう。

腸内環境の改善

腸内環境を正常にに保つために、ヨーグルト、サプリメントなどで乳酸菌やオリゴ糖をしっかりと体に取り入れましょう。

薬剤

薬剤を用いる場合にはネオスチグミン系の薬や膨張性下剤が候補にあがります。

まとめ

弛緩性便秘について原因や治療法を述べました。生活改善で便秘が治るのがベストです。ぜひ参考にしてください。

 
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